コラム インドについて考察する

インドに1カ月間滞在していた訳ですが

その中で見聞きした中で私が思った事を書いていきたいと思います。

 

インドの政治について

 

まずインドは議会制民主主義国家です。

 

つまり政治上で見ると民主国家であり

選挙で政治家を選出できます。

 

 

この事からも一党独裁中国

北朝鮮中東諸国とは違います。

 

政治の仕組み上は民主国家でありますが

実際の国民生活状況を見る限り

 

一般的な民主国家とは違い

どちらかというと独裁政権国家に近いところがあります。

 

 

例えば地域に根付いているカースト制度(憲法上は廃止)

警察、司法、の非公正性が有ります。

 

例えば実際に明らかに法を犯し犯罪性が認めらる状況でも

警察が法を実行してそれらを解決しない事が多く見受けられます。

 

それは逆に言うと反社会勢力組織と警察が連携しているという

証拠でもあります。

 

インドには詐欺目的の偽観光案内所、薬物の蔓延

犯罪被害者に対して理不尽な対応等

これらは明らかに警察が本来の法を実行していない結果

起こっている事です。

 

 

つまりは本来の民意が社会形成に反映されていない

と言わざるを得ません。

 

 

民主制が正しく機能していれば自動的に

差別の撤廃、富の再分配、公務員の賄賂授受の監視が行われ

現在のインドとはかけ離れた公平公正な国になるはずです。

 

 

例えばバラナシの話をしますと

インドでは家を2、3カ月空けると

誰かが鍵を壊して侵入してしまい

 

家主が返ってくると侵入者が銃や刃物で脅して

断固立ち退かない事が有るとか。

 

その為知り合いの医者に住んでいてもらったところ

返ってくると今度はその医者が断固立ち退かないので

仕方なく3か月分の家賃を医師に支払って引っ越してもらったというのです。

(クミコ氏の実例 ウィキペディアより参照)

 

こんなバカげた話が有るのはインドが法治国家として

非常に幼く、それを支配する側もまた

コンプライアンスに関しての認識が乏しいからです。

 

これらを総括するとインドは民主制の形を持った

中身は未だに原始的な自治政府の様な性質を色濃く残した

戦後初期の日本の様な状態と言えるかもしれません。

 

 

インドの犯罪について

またインドに滞在して最も目に付くのが

圧倒的な詐欺師の多さです。

 

この問題の最大の原因はやはり経済的な問題でしょう。

 

もちろん一般のインド人は

決して悪い人ばかりではありません。

 

しかしインドはその特異な文化資源のお蔭で

世界中から沢山の観光客が訪れています。

 

 

そうすると悪い連中の中には

まじめに働くよりは外国人を騙して一儲けしたいと

考える輩が居る訳です。

 

 

またどうしてもツーリストの殆どは物価水準が高い国に住んでいる為に、安易に高額な料金を払ってしまうので

吹っ掛ける

払う

さらに吹っ掛ける

 

という負のスパイラルが発生しているように思います。

 

 

現にインドの首都ニューデリーに

堂々と偽の政府運営の観光案内所DTTDC)が運営されています。

 

この偽観光案内所は毎日客を取れているから

運営し続けている訳で

もし私の様にインドに行く人達が皆

詐欺対策を予習していたらもうとっくに潰れているでしょう。

 

なので結果的に我々観光客が彼ら詐欺師に

栄養を供給して養分となっている実情が有るという事でしょう。

 

またインド警察が機能していない事も

大きな要因の1つとなっているでしょう。

 

ただ途上国の警察機構とは自治政府のそれと似ており

法律よりも私欲を追求する事に熱心な為に

日本人が求める様な悪を正して正義を実行する様な事はまれです。

 

昨今のインドのレイプ事件にも見える様に

インド警察も基本は普通のインド人なので

保守的で男尊女卑な考えが有り

 

また警察の力よりも村の有力者(村長等)

の方が大きな影響力を持っている所も有るので

インドでは弱者や少数派の意見が通る事は少ないように思えます。

 

と言っても実際はカースト制度の廃止やレイプ厳罰化など

少しずつは良い方向に向かってはいます。

 

 

インドの薬物問題

また薬物問題もインドの社会を理解する上では

重要な事象であるように思います。

 

▼詳しくはこちらで書いています。

コラム インドの麻薬事情

 

 

インドは男尊女卑

 

またインドを1カ月回ってみて

殆どインド女性を見かける事は有りませんでした。

 

これはインド特有の文化の様で

基本的にインドでは女性1人で外に出かける事は無いようです。

特に既婚女性になるとそれが顕著になり

家族以外の男性と話をする事もはばかれる慣習があるとか。

 

これは恐らく男尊女卑というだけでなく

結果的に女性を保護する側面も有る様に思います。

 

 

インドの教育格差について

またインドでは日本では考えられない程の

教育格差が存在します。

 

 

日本では1億総中流社会となっていますが

 

インドでは驚く事に識字率

2015年統計で75%という状態です。

 

インドでは10人に2人は字が理解できないというのは

驚きとしか言いようが有りません。

 

識字率100%の日本人からすると異様に思えますが

インドはその国土が世界大7位で日本の約9倍も有る為に

経済的発展に伴う教育水準のボトムアップが

遠方にまで届きづらい面があるので仕方ありません。

 

 

逆に言うといかにアジアの島国の1つに過ぎなかった日本が

戦後爆発的に経済発展したと言えます。

 

 

インドの多文化性

また意外かもしれませんが

インドは多民族、多文化国家です。

 

インド政府が認めている言語だけでも

21言語有ります。

 

インドの公用語は(ヒンドゥー語)ですが

南インドではタミール語が一般的に使用されています。

 

 

またインドには78%を占める多数派のヒンドゥー教徒の他に

イスラム教13%程度

キリスト教2%程度

シク教

ジャイナ教

ゾロアスター教

仏教

となっています。

 

 

インドの食文化

インド人は本当に毎日カレーを食べています。

また多くのインド人は牛肉を食べないのが一般的です。

 

これはヒンドゥー教徒の文化背景からなのですが

イスラム教徒は豚を食べません。

 

またジャイナ教徒も肉を食べないので

インド人の全体の4割はベジタリアンです。

 

 

様々なインドの状況を見てきましたが

 

インドの文化は極めて人間の

根源的な部分が残っている様に感じます。

 

何故なら人間は何の教育も制約も無ければ

力が弱い女性や経済的弱者は不当な扱い受け続ける事になり

男尊女卑や経済格差の固定化が進みます。

 

しかしそれらを法律や教育で弱者と強者の権利を対等にして

弱者に不当な待遇を出来ない様に

最低賃金の採用、労働組合の容認、労働法の策定

物理的強制行為に対する厳罰化等をする事で

経済的強者が弱者を搾取する事が難しくなります。

 

むしろ強者には累進課税制度を採用して

税負担を多く科す事で社会を平均化に近づける事が出来ます。

 

 

しかしインドを見るとまだそういった

社会の健全化が大分遅れて進んでいるように思います。

 

ただ逆に言うとインドは健全なる主権国家としての側面があり

他国に介入される事なく国家政策を実行できるので

良くも悪くも外国から搾取されたり利用される事は有りません。

 

 

またインドは世界8カ国の核保有国の1つであり

事実上他国から侵攻される可能性は無いに等しいので

紛争国の様に大国から戦争を持ち込まれるリスクも有りません。

 

反対に我々日本の様に生命線である安全保障の砦を

他国に握られている様な国とは違います。

 

 

なので経済的、教育水準、社会性、技術力等は

まだまだ途上ですが国体として見た場合には

1人前の国と言えると思います。

 

 

また長期的に見ればインドは

世界第2位の人口を誇る途上国なので

この先中国の様に経済発展して

技術力、IT分野の飛躍が成功すると

世界をコントロールする側に回れる権利を持っていると言えるでしょう。