さて3週間のバジャウ族取材を経て
様々な観点からバジャウ族を見てきました。
その中で大きな資本力や、行政機構を持たないバジャウ族にとって、最終的な頼み綱はやはり
フィリピン政府です。
彼らバジャウ族といえども、結局はフィリピン領であるセブの、アラスカマンバリンという地区に住んでいます。
つまりは彼らとて、フィリピンの法律の枠組みの中で生きています。
当然フィリピンの法律に抵触していた場合は、フィリピン警察が対応する事になります。
なので麻薬使用の疑いが有った時などは、フィリピンの警察がバジャウ族の村で捜査を行います。
バジャウ族の中には警察機構が無いので、問題が起こった時には村長に相談する事になります。
またバジャウ族に対しては、フィリピン政府が支援をする立場になっており、私が滞在中も
12隻のボートがバジャウ村の倉庫に運ばれて行き、そのボートはフィリピン政府が寄付したものという事でした。
また、以前の記事で触れた様に
国際NGOのIRISの存在も
バジャウ族にとってはとても重要な組織となっています。
私が取材した中ではバジャウ族にとっては、フィリピン政府よりもIRISの方が、積極的に支援をしてくれてるように見えました。
それもそのはず、地上のバジャウ村である
PUNTODの住居全てと、学校はIRISの原資によって建設されたそうです。
そして現在も住居の改修などは、IRISに修理要求を出すのだとか。
つまりバジャウ族にとって最も大きな支援組織は
IRIS、次にフィリピン政府となります。
そうして今はバジャウ族の海上の村NAVAに
大夢さんが住んでいるゲストハウス兼住居に、日本人コミュニティが在ります。
ただ誤解の無いように書きますが
大夢さんを始めとする日本人コミュニティは、バジャウ族に対する支援を目的とした性格は有りません。
※ 2次的な支援効果は有ります。
バジャウ族を取材した中で思ったのは
IRIS、フィリピン政府、日本人コミュニティと
大きく分けて3つの組織が影響しているように思えました。
恐らく今後バジャウ族の子供たちは全て、学校教育を受けて殆どがクリスチャンに成り、ビサヤ語、英語を話せるようになります。
そうしてフィリピンの会社で働いて、フィリピン人と結婚するバジャウ族の人達も増えてくるでしょう。
この変化は少数民族にとっては、必然的なもので避ける術は有りません。
近い将来、バジャウ族の人達は
「マキソコール」(バジャウ語でおはよう)
そういう言葉を使う人も居なくなるでしょう。
それは現在日本で、アイヌ語や琉球語を使う人が居ないのと同じ事で、人間の文化とはマジョリティーに飲み込まれる様にして、自分にとって最良の選択をするからです。
私はそんな消失が目の前に有る、貴重なバジャウ文化を寂しい様な気持ちの中で
バジャウ族の彼らと一緒にビールを飲むのでした。
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