バジャウ族の取材している期間にも
コロン地区やパシル地区の取材を並行していたので
2日振りにバジャウ村に再度取材に行きました。
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そして仲良くなったバジャウ村のデンジさん達に
2日振りに会うと
何とバジャウ村に滞在している
日本人のテツロウさんの
お金が盗まれるという事件が起きました。
テツロウさん。
聞いたところなんとその額
(5万円)というから驚きです。
5万円という金額は日本でも大金ですが、ここバジャウ村では日本人の感覚では比較にならない程
非常に大きい金額です。
ちなみに普通のフィリピン人が1カ月働いて
10000~20000ペソ位です。
(21000円~42000円)
(※)フィリピン人の最低日給は約400ペソ、地域によって違います。
しかしこれはフィリピン人が仕事で得る給料です。
バジャウ族の人々の現金収入は
もっと少ない事が多いです。
特にバジャウ族の中でも、貧困層の
物乞いだけで生計を立てている人等は
1日(100ペソ~200ペソ)位しか、お金を得られません。
(210円~420円)
そういう人達は1カ月でも
(3000ペソ~4000ペソ)位しかなりません。
(6000円~8000円)
5万円という金額は物乞いの半年分の収入です。
フィリピン人にとっても2カ月分位の収入です。
つまり日本人の物価感覚で計算すると
30~40万円位の価値になります。
つまり私が言いたいのは、彼が盗まれた5万円は
盗んだ者にとっては、ビックリする位の大金という事です。
私はお金を盗まれたテツロウさんに話を聞いてみると
盗まれたお金は、現在フィリピンに持って来ている
全財産という事でした。
テツロウさんが言っていた
「人に対して良い事をすれば、報われるという考え方に疑問を持ってしまう」
と言っていたのが、私にはとても印象的でした。
本当にバジャウ村とバジャウ族の人達が好きな、テツロウさんだからこそ
そのバジャウ族に盗難された事は
大きな失望感が去来したという事でしょう。
盗まれた状況は、友達の家の中に置いていた
テツロウさんのキャリーケースの中に、お金を入れていたという事でした。
もちろん盗んだ犯人は、全く分らないという状況です。
後で彼のキャリーケースを見てみると
何とジッパータイプのキャリーケースで
このタイプはセキュリティレベルが非常に低いです。
テツロウさんはまだ若いので、周りのフィリピン人に対する警戒意識が甘かったのかもしれません。
私の経験上途上国に行くと、窃盗や強盗、詐欺等は必ず想定しなくてはなりません。
私も現地に行く時は大金は携行せず、必要な時だけその都度ATMで降ろします。
基本的にこの方法がベストだと思っています。
どんなに気を付けていたところで、バッグごと盗まれる事も有るので
盗めないようにするには
そもそも持たない事が最大の安全策です。
ちなみにこのバジャウ村は、非常に泥棒が多いです。
この間取材させてもらったヒロムさんも
何度も盗難被害に遭っているとか。
そしてテツロウさんも、以前にも盗難の被害に遭っているそうです。
残念ながら、こういった良くないバジャウ村の側面も書かなくてはなりません。
またバジャウ族のデンジさんですら、何度も盗難被害に遭っており、1度、携帯電話を盗まれた時は
犯人を特定すると、犯人の家まで武器を携行して行って、武力を厭わない態度で相手に返却を要求して
力業で返却させたという事でした。
テツロウさんは、フィリピンに持って来ている全財産を盗難されてしまったので、ビザの延長費用が無くなってしまい
このままではフィリピンに滞在出来なくなるという事で、私も彼の事を凄く心配しました。
その後、テツロウさんは仕事をしたり
持って来たノートパソコンを
バジャウ村に住んでいる"ヒロム"さんに
4万円で買い取ってもらったりして
テツロウさんは自力で滞在延長をする事が出来ました。
私はそんなテツロウさんを見て、すぐに他人に頼る事を考えるフィリピン人と違い
自分の努力で問題解決を試みる
日本人らしい強い意志を感じました。
(※全てのフィリピン人が他力本願な訳ではありません)
流石テツロウさん。
彼はジャニーズ系のカッコいいイケメンですが
見た目だけでは無く、中身も強い芯の有る青年です。
彼は周りのバジャウ族の方々と、信頼関係を築いていて
私も彼に何かと助けてもらいました。
彼なら今後何が有っても
フィリピンで強く生きていけるでしょう。
その後、テツロウさんと島々に同行する事になります。
ちなみにこのバジャウ村の自治は、フィリピン政府管轄になっています。
もちろん犯罪が確認されれば
フィリピン警察が来て操作の対象になります。
ただ実際には、窃盗程度での軽微な犯罪では、フィリピン警察は呼ばずに、当人同士で問題を解決させるのが
バジャウ族のやり方です。
大きな問題に発展した場合は、村長等に相談するのでしょうが、基本的にバジャウ族の人達は、村長は非常に格上の存在と捉えていて、コンタクトを取る事はまれの様でした。
またフィリピン警察は、非常に評判が悪く
バジャウ族の方は、フィリピン警察と関りを持ちたくない様です。
またフィリピンはまだまだ発展途上なので
その他の途上国と同様に、警察の人権侵害や、悪徳警察が因縁をつけて、市民からお金を巻き上げたり
証拠も無いのに逮捕拘留される、という事は
未だに日常茶飯事です。
実際にフィリピン在住の日本人が、近所のフィリピン人から謂れの無い罪を警察に訴えられて、未だに拘置所に拘留されています。
現在裁判で係争中だとか。
これは途上国の特徴の1つで、警察が当たり前の様に職権乱用をしています。
また警察とマフィアが繋がっている事も
決して珍しくは有りません。
これは構造的な問題で
警察は犯罪の捜査機関である為に、警察が違法行為をしても
逮捕する組織が無い為です。
もちろん厳密には警察の犯罪に対しても、市民と同様に犯罪を犯したら起訴される訳ですが
警察組織は閉鎖的で、身内には徹底的に甘いので、現実に市民が警察の違法行為を訴えたところで
身内の警察は動こうとはしません。
よっぽど有力者であれば、弁護士を雇ったり
市議会議員に訴えたりと出来ますが、一般のフィリピン人はそういったコネや、資金も無いので
悪徳警察天国の状況が常態化しています。
また、そもそも悪徳警察は有力者に対しては
悪さをするどころか、協力関係を築いていて
相談役の様な存在に成る事が多いです。
現在はフィリピンはドゥテルテ大統領就任以来、悪徳警察や悪徳政治家等の逮捕を進めているので、フィリピンの治安は急速に回復しています。
その為に拘置所が定員の3~4倍の超過密状態になっており
そこには先進国が持っている感覚の、人権は無くなっています。
ドゥテルテ大統領については、フィリピン国内でも賛否両論ですが、私の友達のフィリピン人の中では
彼を支持している人が多いように思います。
それは彼のやり方は強引で、時にはを法律を超越して犯罪者を銃殺したりしますが、それでも実際に麻薬中毒者や
密売人等が町から消えていっているので、市民に目に見えて彼の手腕が確認出来るからでしょう。
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